Behind the Collision: Trump Jettisons Ukraine on His Way to a Larger Goal
伝統的に米国の力の源泉となってきた、価値観を共有する民主主義諸国との同盟を切り捨て、大国間の露骨な駆け引きの時代へと米国を回帰させる――。大統領に就任してからの5週間、トランプ氏はこうした姿勢を鮮明にしてきた。しかし、常に一つの疑問が残った。自身のビジョンを突き進める中で、果たして彼はウクライナをどこまで犠牲にするつもりなのか、という疑問だ。
2月28日午後早く、米大統領執務室に詰めかけた報道陣のカメラの前で繰り広げられた、(両国首脳の)驚くべき衝突は、その問いへの答えを示した。
トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領をたしなめながら、ロシアのプーチン大統領との関係について「あなたには決め手[cards]がない」と警告した。そして、(同席していた)バンス副大統領はゼレンスキー氏を「無礼[disrespectful]」で恩知らずだと批判した。この瞬間、米国とウクライナの3年間にわたる戦時下の協力関係が崩壊したことが明らかになった。
関係修復が可能か。また、今回の(ゼレンスキー氏の)表向きの訪問理由に挙げられていた、ウクライナの鉱物資源を米国への収益供与につなげる取引を再構築できるのかは、不透明だ。
(大統領執務室で交わされた)とげとげしい[venomous]言葉の応酬が映像で伝えられると、こうした大っぴらな批判の応酬を見たことのない米国や欧州諸国の人々はがくぜんとした。そればかりか、プーチン大統領とその側近たちにも目撃されて、より大きな真実を浮き彫りにすることとなった。すなわち、トランプ氏自身が格段に重要視している計画には、ウクライナが障害になっていると彼が考えている、ということだ。
- 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」
トランプ大統領は、米国が第2次世界大戦後に構築したシステムが米国の力をむしばんできた、と考えているとNYTは報じています。では、トランプ氏は何を望んでいるのでしょう。
欧州のある高官は2月下旬…